引越しだ/We're Gonna Move
スクリーンから最初に流れて来たエルヴイス・プレスリーのナンバーが、この<引越しだ/We're Gonna Move>。
劇中、レノ家のポーチでエルヴィス扮するレノ家の次男坊クリントが歌うアップ・テンポなカントリーな曲。
自分は実際にはDVDでこの映画を鑑賞したので、この曲を耳にしたのはそんなに過去の話ではないが、この映画が製作されたのは1956年。日本で公開されたのが翌年1957年。南極基地に残した兄弟犬タロー、ジローが話題になった年だ。
エルヴィスと長期契約を交わしたのは、豪腕プロデューサーハル・B・ウォリスだが、「金の成る木」と読んで真っ先に契約はしたもののエルヴィスをどう使っていいのか、苦慮していた。それほどエルヴイスもロックンロールも未知の体験だったのだ。ハル・B・ウォリスはエルヴィスをライバル会社20世紀フォックスに貸し出し対策を練ることにした。
そうして製作されたのが「やさしく愛して(Love Me Tender)だった。いまもCMで頻繁に流れ続けるLove Me Tenderはこの作品のテーマ曲として歌われた。
ところが実際には、世界中のスクリーンから最初に流れて来たエルヴイス・プレスリーの歌声とパフォーマンスがこの<引越しだ/We're Gonna Move>なのだ。
1957年といえばまだまだテレビが普及していない時代。
歌は映画の内容(南北戦争)に合わせた古めかしさを感じさせるシンプルなカントリーナンバーをサンスタジオ時代のロカビリー調で歌っている。エルヴィス・ファンでも相当なマニアでないと忘れられている曲だといってもいい。エルヴィスの歌うときの動きは得意のスタイルで初めて目にする人はさぞかし驚いただろう。
同時に、日劇ウェスタンカーニバルで活躍していた和製ロカビリーのパフォーマーと全然違うことも知ったのではないだろうか?
同時に、日劇ウェスタンカーニバルで活躍していた和製ロカビリーのパフォーマーと全然違うことも知ったのではないだろうか?
この映画「やさしく愛して(Love Me Tender)」はもともとは「The Reno Brothers(リノ兄弟)」というタイトルで仲良しだった兄弟が戦争がもたらした悲劇に起因する葛藤と活劇が話の骨格。それにラブストーリーが絡むもので内容的には「The Reno Brothers(リノ兄弟)」がふさわしい気がする。
ところが映画に先行して発売されたテーマ曲<Love Me Tender>が大ヒットしたので、急遽<Love Me Tender/やさしく愛して>に改題された。
舞台は南北戦争の時代。
プレスリーが演じるクリント・リノ (Clint Reno) は、リノ四兄弟の末弟で、兄たちヴァンス (Vance)、ブレット(Brett)、レイ (Ray) は南軍に従軍していた。若いクリントは家に残り、母親と農場を守っていた。
一家は、一番上の兄ヴァンスは戦死したと知らされていたが、実は誤報だった。クリントは誤報であることを知らずにヴァンスの許婚者だったキャシー (Cathy) と結婚していた。
4年間の戦争の後、兄弟たちは帰郷して来て、ヴァンスはキャシー (Cathy) がクリントと結婚していることを知り一家は葛藤する。
ヴァンスの帰郷後も、キャシーは若いクリントを裏切ることはないが、心ではヴァンスをまだ愛していた。一方のヴァンスも長兄の役割を全うしようと大きな気持ちですべてを受け入れるが、クリントは嫉妬心に駆られ、兄を恋敵だと思い込む。
兄弟3人は、戦争が終わったことを知らずに北軍の給料12,000ドルを運搬していた列車を襲撃し大金を獲得していたので、合衆国政府から強盗として追究されることになる。
ヴァンスは、戦友たちの意向に反してこの資金を返還しようとするが、戦友との間で衝突する。クリントは、この戦友にそそのかされヴァンスと対立し、悲劇的な結末を迎える。その結末にエルヴィスの実際の母グラディスは映画だとわかっていても悲しくて泣いたそうだ。ファンも同じでラストシーンにLove Me Tenderを歌うエルヴィスの姿が挿入された、
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